昨日3月29日(土)、天満屋の倉敷新店がJR倉敷駅前の駅東ビルにオープンした。
天満屋は、中国・四国地方では有名な地方百貨店グループで、今月に入り、北京五輪女子マラソンの代表に中村選手が選ばれたことで、天満屋の名を耳にした人が増えたのではないかと思う。
倉敷新店となったビルは、元々、三越が入っていたが、三越が2005年5月に撤退、空白の3年が続いた後、2~300m先で倉敷店として営業していた天満屋が、移転して来て「新店」としてオープンした。
オープン前日に大きなチラシが入り、母がぜひ行きたいとのことで、母娘で見に行った。
私たちが到着したのは、オープンから2時間近くが経った正午前。
前日の新聞の地方版で「初日来場者は5万人を見込む」とあったので、覚悟して行ったが、思ったより空いていた。
新宿伊勢丹の正月やバーゲン初日の凄まじい混み方に慣らされていると、ちょうどいい程度の賑わいに感じられる。
それでも今日の新聞によれば、予想を1万人上回る、約6万人(推定)が来場したとのこと。
(介護を必要とする)母を連れての1時間弱、店内を見て回った。
だから、本当にざざっとだし、細部まで見ていない、という前提で、読んでください。
この駅東ビルは1980年(昭和55年)、三越と共にオープンした。
今回、内外装を一新したとはいえ、当時の骨格をそのまま使っているのだから、三越に似ていると感じるのは、当たり前といえば、当たり前だけど、まるで、三越 倉敷店の初期の頃を彷彿させる店作りだ。
1階のフロアに入った途端、高校生の頃に感じた、ふんわり艶やかな感触を思い出した。
「畳と女房は新しい方がいい」という諺があるが、やはり「初物」というだけで、人を惹きつけられるのは事実。
考えてみると、30年近くも前に、今見ても全く違和感のない天井高にした設計は「さすが三越!」と思う。
でも、ここからはちょっと辛口。
階 | 売場 | 勝手評価 | 勝手意見・感想 |
---|---|---|---|
6 | レストラン | ○ | 6店舗だが、和洋中と揃い、テナントのバランスも良さそう。 |
5 | インテリア・ 家庭用品・ こども服 | ◎ | 品揃え良く、周辺店舗では、この手のワンストップショッピング性に欠けていたこともあり貴重。 |
催場 | ◎ | ちょうどいい広さ。1~4Fにない商品を補う形で、中高年(特に高年齢層)向け企画は常に集客できそう。 | |
4 | 紳士服 | ? | (売場をパスしたため) |
Loft | △ | 中途半端。決して十分な広さでないのだから、一般文具・事務用品は避けるべき。かえって割高感が先行する。Loftらしさを前面に出した品揃えにすべき。 | |
3 | 婦人服 (ミセス) | ○ | 微妙な所。周辺やイオンモールと比べて、どう特色を出すかが必要。 |
2 | 婦人服 (ヤング・ キャリア) | ○ | 倉敷初登場ブランドも多いが、ブランド指名買い客を増やせるかが鍵。そうでなくとも、この年代はイオンや岡山に流出。 |
1 | 婦人服飾 雑貨 | ◎ | 百貨店らしい品揃え・空間となった。 |
化粧品 | △ | 客が流れて来ない所で可哀相。導線設計の失敗。既存の固定客を相手にするしかないかも。 | |
B1 | 食品 | ◎ | デパ地下らしい雰囲気を醸し出している。若年~高年齢層まで受け入れられ、テナント構成が今風。個人的にはこの階が最も高評価。 |
新店になり、より明確に感じた問題点が、この2つ。
2Fは10代後半~30代前半、3Fは30代~50代を中心とした品揃え。
それも、きっちりテナントで区画が分けられているので、60代以上が、何となく(特に目的もなく)、のんびりと自由に品定め、品選びする場が少なくなってしまった。
バーゲン会場のみが、その場になってしまうのだろうか?
母は意気込んで出かけたにもかかわらず、ポツンと
「きれいになったけど、ほしいものがない。」
と言い、何も買わなかった。
(出かけると、1つくらいは何か買う母なのに。)
オープンから間もない頃は「初物見たさ」に集客できるだろうが、その後の継続的集客のアキレス腱となるのが、駐車場。
ビル内には全くなく、付近に契約駐車場が散らばっている状態で、それも少し距離があり、歩くにはかなり面倒。
これだけ車社会になっていて、どこでも大駐車場を抱えているのに比べ、圧倒的に不利。イオンモールに逃げた客足が戻るとは到底思えない。
かと言って、駅前の地の利も、岡山ならともかく、倉敷では薄そう。
営業時間を19時から20時に延ばしたとしても、効果は今一つだろう。
とはいえ「駅前再生のきっかけに」と願う地元商店主らの希望の星となることを期待せずにはいられない。
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