最近、SaaSという言葉をあちこちで聞くようになりました。
SaaSとは、Software as a Service の略称です。
簡単に言うと、インターネットを経由してソフトウェアの機能を利用する
ことです。
これまでは、ソフトウェアを利用するには、プログラムを組むかソフトウェア
パッケージを買ってきて、自分のコンピュータにインストールして使って
いました。例えば、業務ソフトで言うならば、例えば○○代官様(そんなの
無いか?)といった会計ソフトのパッケージを買ってきて、自社のパソコンに
インストールして使っていました。
これがSaaSだと、ソフトウェアをインストールせずに、Internet Explorer
などのブラウザを使ってソフトを使うことが出来ます。
利用料金も、パッケージを買うのではなく、利用料金を支払う形になります。
そのため、初期投資額が少なくて済むというメリットがあります。
サーバの管理やソフトのアップデート、データのバックアップなどをSaaS業者が
行うので、社内にシステムメンテナンス担当者を置く必要もありません。
顧客管理ソフトのセールスフォース・ドットコムが成功して、一気に認知度が
高まってきました。
そんな話題の中、先日ITマネジメント・サポート協同組合が主催するセミナーで、
「ネットワーク新時代 NGNとSaaSの最新動向」というのがあったので、聴講
してきました。
このセミナーでは4人の方の講演がありました。
・Inter Application概要と最新動向
(株)経営資源システム研究所 主任研究員 山下博文 氏
・MIJS(Made In Japan Software Consortium)標準化の動向
(株)システムインテグレータ 代表取締役社長 梅田弘之 氏
・PCAの提唱する中小企業向け基幹業務におけるSaaSモデル
ピー・シー・エー(株) 営業本部戦略企画部課長代理 篠崎洋介 氏
・SaaSを支えるNGN最新事情
ネットワンシステムズ(株)ネットワークアカデミー部長 笠原豊喜 氏
ここでの新たな発見としては、
1. SaaSと言っても、いろいろな形態がある。
2. トータルコストでは、SaaSの方が安いとは限らない。
3. 一つのソフトウェアをSaaSで利用するだけでなく、いろいろな機能を連携
させるのがこれからのトレンド。
といったところです。
1. いろいろな形態としては、
利用者のPCにソフトをインストールして、ブラウザではなくそのソフトを
使ってネット接続して使う形態も、SaaSと呼んでいるようです。
データも、自分のPCに保存できるようになっているものがあります。
これだと単にライセンス管理をネット経由でやっているだけのような気も
するのですが、SaaSという言葉に明確な定義が無いので、これをSaaSと
呼んでも、誰も文句は言わないのでしょう。
2. コストの面では、
上記のようなケースでは、初期費用としてある程度の費用を取るので、
パッケージを買って保守契約を結ばないで使っている方が安くつくと
いうこともあるようです。
3. アプリケーション間連携では、
MIJSでは、アプリケーション間連携のためのデータ連携について標準規格
を作成してます。
これが実現すると、会計はA社、人事・給与はB社、生産管理はC社、販売・
物流管理はD社のものを使って、ERPを構築するといったことができます。
これをSaaSで提供するようになれば、情報システム構築の常識が変わるの
ではないかと思います。
SaaSと同じようなコンセプトで、ASPという言葉が流行りましたが、それほど
大ブームという訳にはいかなかったようです。
複数社間のアプリケーション連携がうまくいくようになると、SaaSの価値は
ぐっと上がると思います。
しばらく、動向に注目していましょう。
山本康